京都、八坂通の京料理、割烹 祇園 さゝ木

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佐々木 浩 × 風間 純子(株式会社オブザアイ 代表取締役)

佐々木浩が、各界の著名人を迎えて対談を繰り広げるシリーズ「人に味あり 味に人あり」。
今回のゲスト、「オブザアイ」代表取締役・風間純子さんには
「祇園 さゝ木」のホームページの映像制作に携わって頂いている。
映像で捉える「祇園 さゝ木」について、さらには「映像」と「食」が紡ぐ絆についての
ふたりによる対談です。





映像を介して見えてくる「祇園 さゝ木」の魅力とは?

佐々木(以下、佐):風間さんには「祇園 さゝ木」のホームページ制作で、かれこれ3年、お世話になっています。

風間(以下、風):毎月、佐々木さんの料理撮影を楽しみにしていますよ。

佐:風間さんと初めて出会ったのはかれこれ25年前。僕にとってシンデレラのように美しい女性で、とても照れていたのを覚えていますよ(笑)。

風:いえいえ。でも、佐々木さんが最初に開店したお店へ伺っていますから。そう考えると長いお付き合いですね。

佐:「祇園 さゝ木」の人や店、料理を撮影して頂いているなかで、凄く嬉しかったことがありましてね。出張でパリへ出向いた際、「マンダリン オリエンタル パリ」総料理長のティエリー・マルクスさんが「佐々木の店のホームページを見ているよ。あの映像は素晴らしい」って言ってくださったんです。忘れられない思い出です。

風:弊社の代表でカメラマンの柏原聡も同じことを言いますが、佐々木さんのお料理は本当に美しいんです。何が感動したって、「祇園 さゝ木」のお節料理を撮影したときでした。料理はお煮しめでしたか。スタッフが盛り付けをするのと、佐々木さんが盛り付けをするのとでは美しさが全く違うのです。あれには驚きましたね。

佐:その差はね、給料の違いですよ(笑)。

風:だって材料も同じじゃないですか。何が違うのかって、説明がとても難しいのですが、ぱっと見て「美味しそう!」と思わせる技。まさにマジシャンみたい(笑)。映像という視点で言いますと、“料理は絵画的”だと思います。一方、“洋菓子は彫刻的”。お皿の上に盛り付けた料理は、絵の具をのせたパレットのような世界観。そういった点で、佐々木さんの絵画的なバランスの妙に毎月、感動の連続なのです。

佐:嬉しいですね。こればかりは持って生まれた天性なのです。いくら教えてもうまくいかない場合もあります。「祇園 さゝ木」でも、庖丁を使わせたら並のレベルだけれど、煮炊きものを作らせたらとても素晴らしい味付けをするスタッフがいます。人それぞれ、得手不得手があると思いますから、彼らひとりひとりのどこが優れているのか、常に意識をして見ていますよ。


単純でブレない人こそ
いい「モノづくり」ができる


風:まさに監督ですよね、料理店のご主人は。私、いつも感じていることがひとつあって。“単純な人”ほどいいモノを作ると思うんですよね。

佐:確かに。シンプルに考えているからこそ、マイナスもプラスもなく、他人の意見に惑わされることなく、いいモノづくりができると実感しています。

風:料理も映像も同じことがいえるのではないかと。「オブザアイ」では、TBSテレビ「世界遺産」の撮影もさせて頂いています。カメラマン・柏原は、世界各地の世界遺産を撮影しているとき、「うわ~」とか「すごい~。綺麗だなぁ~」など、独り言が本当に多くって…。映像にいろんな歓声が入るから、喋らないでというお達しが、ディレクターから出るくらい(笑)、いい意味で単純、感動屋なんです。

佐:分かりますねー。柏原さんのそのキャラクター。単純に感動するからこそ、いい瞬間をスッと捉えることができるのでしょう。僕ね、関西にまだ数台しかなかったスカイラインGTRを購入した頃、車の撮影で柏原さんと初めてお会いしました。あの方、喋ってばっかりで。「いつカメラ回すの!? もう店に帰りますよ」って僕が伝えたら「じゃぁ今から撮りますわ」って(爆笑)。

風:柏原は佐々木さんのことが大好きなのです。相性がよくなければいいものは撮れませんから。その点では2015年の5月から半年にかけて、撮影させて頂いた「祇園 さゝ木」さんのキッズプロジェクト「お米ができるまで ※1」は、私達も皆さんと一緒になって、楽しみながら撮影をさせて頂くことができました。あのプロジェクトにおいて、佐々木さんが子どもたちへ伝えたかったこととは?

次世代を担う子どもたちへ「繋ぐ」想い

佐:まずね、僕がとても嬉しかったことは、田んぼで泥だらけになって子どもたちと触れ合うことができたこと。ぬかるみの田んぼのなかにグニュ~ッって足を踏み入れてね(笑)。あの経験を大人だけでやったとしても何の値打ちもありません。僕たちの次の、さらには次の世代の子どもたちと同じ気持ちで、田植えから稲刈り、さらには刈ったお米を飯盒炊爨でおにぎりにして食べました。その一部始終を一緒にできたことは、大人にとってもいい経験でした。彼ら、彼女たちは、その経験を今は忘れているかもしれませんが、大人になったときに「米を作ったなぁ」と、頭の片隅にでも思い出してくれたら。それだけでも、何かを繋げられたのではないかと思います。

風:なるほど。実はね佐々木さん。※2「くまもとで、まってる。」というショートムービーの仕事で、ある船頭さんを撮影したことがありました。過疎化が進んだ熊本県の山間の村で、80歳近いおじいさんは、観光用の渡し船を操っておられました。川を挟んだ対岸にある高校へ行かないといけない高校生のために毎日、渡し船を出すのです。凄いでしょ。観光客もほとんどないので、ひとりの高校生が川を渡るためだけと言っても過言ではない。撮影をしていて面白かったのは、毎朝、彼らはひと言も口をきかないんです。

和やかな雰囲気もない。おじいさんは立ち漕ぎをしていて、船の上の高校生も立ったまま、対岸へ着くのを待っているだけ。くる日もくる日もですよ。おじいさんが高校生に対して、あれこれ話しかけないのは、ある種の大人の構えのような気がしたのです。
そして彼が高校を卒業したのち、おじいさんは船頭を引退されました。おそらく、佐々木さんが言われたように、彼はおじいさんへの感謝を、今すぐは分からないと思います。でも、自分のために毎朝・毎夕、そこに居てくれた有り難みを実感する時が、いつしか来ると思うのです。

佐:いい話ですね。「おじいちゃん、毎朝ごめんな」と、心で通じ合っていたかもしれませんね。

風:佐々木さんの店のスタッフ、そして卒業した弟子たちによる「祇園 さゝ木 一門会」だってそうじゃないですか。男性スタッフが多いなかで、皆がベタベタ馴れ合いになるのではない。でも「お米プロジェクト」の際、一門会のメンバーたちは、ニコニコ笑顔でおにぎりを握り、もしかして子どもよりも嬉しそうな顔をしていたかもしれない。その楽しさが、いろんな人に伝わり、繋がっていくといいですよね。

佐:「お米プロジェクト」では、子どもたちから「どうして料理人になったのですか?」、「どうやったらお米を美味しく炊けるのですか?」など、食に対していろんな質問を頂きました。正直、嬉しかったですよ。「祇園 さゝ木 一門会」で行ったあの活動のことを、彼ら、彼女たちが大人になったときに、5人でいい。いや、3人でもいい。覚えていてくれたら嬉しいです。そして僕の役割としては、将来を担う子どもたちに、今後も食を通じてさまざまな経験をしてもらえる土壌を作っていけたらと考えています。




(風間さんプロフィール)
風間純子 
映像制作会社「株式会社オブザアイ」代表取締役。ニュースキャスターを経て、インタビュアー、ナレーターとして幅広い分野で活躍。なお、「株式会社オブザアイ」は、「世界遺産」(TBS)、時代の「顔」を集めたインタビュー番組「hito~今を生きるあなたへ」(TBS)や、「FACE~時代をつくる人」(MBS)ほか、さまざまなTV番組やCMなどの撮影も手掛けている。
また、人と人との絆[kizuna]をコンセプトに、俳優から音楽家までさまざまなクリエイターが、被災者支援のために、朗読や手紙といった手段を用いて発信する、東北地方太平洋沖地震の支援サイト「kizuna311」(http://kizuna311.com/)にも協力。

●株式会社オブザアイ
http://obserai.co.jp/


※1「祇園 さゝ木」さんのキッズプロジェクト「お米ができるまで」
vol.1「お食事会」  http://gionsasaki.exblog.jp/21782974/
vol.2「田植えにチャレンジ!」 http://gionsasaki.exblog.jp/21795067/
vol.3「お米のお話」 http://gionsasaki.exblog.jp/21915122/
vol.4「稲刈り体験」 http://gionsasaki.exblog.jp/22364459/
vol.5「おにぎりの会」 http://gionsasaki.exblog.jp/22584445/

※2「くまもとで、まってる。」
https://www.youtube.com/watch?v=gl02kvwAKFE