霜月の焼物 第11回

「秋の味覚 キノコ朴葉包み」

「秋はキノコが豊富に味わえる季節です。
それを、なにと合わすか料理人が頭を悩ませるところです」
と佐々木は話しながら、豚肉の肩ロースを取り出した。
ここで豚肉を登場させるのが、いかにも佐々木らしい選択である。

豚肉をスライス。そこに塩麹を塗りこんだ。
火が入ると固くなる豚肉だが、塩麹のおかげでそれが軽減できる。
そして用意されたキノコは、松茸、しめじ、舞茸、栗に銀杏と秋をしっかり感じさせる素材が揃った。
「フランスでも秋はキノコが話題になります。それぐらいに秋にはキノコが大切な素材。
それも天然のキノコは本当に香りが違います」と佐々木は天然であることの重要さを話してくれた。
たしかに、いま天然のキノコ類が少なくなり、貴重な存在となっている。

塩麹を外し、豚肉の調理にかかる。
ここで佐々木は、炭火というか炭の上に直接豚肉を置いた。
高温で豚肉の表面が瞬時にして火が入る。
炭に当たった部分が少し焦げる。これもうま味の要素だ。

佐々木は、炭を自在に扱う料理人である。
一般的な炭床を使うことは当然のことながら、今回のように直に当てることもある。
また上火使いもする。網の上に熾った炭を乗せ、それで素材の上から火を入れるのだ。
網と素材の間隔で炭の温度も調節できる。つまり、炭の香りも自由自在になるということ。

いよいよ仕上げにかかる。
朴葉にキノコ類をきれいに並べる。
その上に軽く火入れをした豚肉をのせ、栗や銀杏をならべ、朴葉で包み込み、オーブンに入れる。
さあ、焼きあがったキノコの朴葉包み。
開けた瞬間に、キノコ類の秋の香りがぐっと立ち上ってくる。
茶系等の色合いも、秋らしい山並みのイメージに繋がってゆく。

味噌味のタレをかけることで味わいに変化をもたらす。
豚肉は程よい弾力と甘みが傑出した味わいとなっている。

キノコだけで食べてもよし、豚肉と合わせることで、相乗効果が生まれ、
ますます秋が深まってゆくように感じるのである。
キノコをいかに食べさせるか。佐々木の思いが見事にカタチとなった一品である。