長月の〆のご飯 第9回

「おにぎり」

日本人にとって米は主食である。
「毎月のごはんもいいのですが、おにぎりもいちどお願いしたいのです」と佐々木浩がつぶやいた。
確かに「おにぎり」は、炊きあげた米に少しの塩を加え手で握るだけの食べ物である。
なのに、日本人の大好物。

これには「俵型」と「三角」の二種類ある。
手で握る。だから「おにぎり」というのだろうか。
「おにぎり」とはちがって「おむすび」という言葉もある。
これも素敵な表現で、人と人を結ぶから「おむすび」というという説もある。
また「おむすび」は「俵型」ではなく基本「三角形」の時に使われることが多い。
日本古来の習わしとして、正月に初詣に出かける。
そこで、おみくじを引き、一年間を占う。良きお告げは財布にしまい、以外は寺社仏閣の木に結ぶ。
その形が三角形なので「おむすび」と呼ぶともいわれる。

ある昼下がり。
「祇園ささ木」の料理人が集まり「おにぎり」を握ることとなった。
「周りが固くて、中がふんわり握らないと、おにぎりにはならない」と佐々木が言う。
各料理人が頷きながら、熱々のごはんを手に取りにぎり始める。
それぞれが笑顔で一心不乱ににぎる。
熱々ごはんを掌にとり、中の具材を選び、それを包む込むように丸める。
そこから三角形になるように形を整えてゆく。
まるで喜びながら拍手をしているようなリズムを刻む。
次第にごはんの形が整ってゆく。

そのまま食べてよし。
また海苔を巻いてもよし。
とろろ昆布をつけてもよし。
完成すればどんな食べ方もよし。
醤油をつけて焼きおにごりというプランもある。
これまでのごはんと異なるのは、だれもがおにぎりなら参加できる。
そこに自分の思いを込めてにぎる。

それだけなのだが、みんなどんどん笑顔が豊かになり、言葉が多くなってゆく。
おにぎりの力は、だれをも元気にすることである。