師走の〆のご飯 第12回

「一汁三菜」

「祇園ささ木 ご飯12ヶ月」も最終回を迎える。
日本の和食がユネスコ無形文化遺産登録をされてちょうど一年がすぎる。
その特徴は大きく4つある。
多様で新鮮な素材とその持ち味の尊重
栄養バランスに優れた健康的な食生活
自然の美しさや季節の移ろいの表現
正月など年中行事との密接な関わり
そしてうま味を活用した一汁三菜の食事スタイルこそ理想的な栄養バランスがとれ、
日本が世界に誇るもの。
つまり、ご飯を中心として一つの汁と三つのおかずが揃うのだ。

まずは焼物。甘鯛の若狭焼きである。本来はうろこをつけたまま焼くのだが、
佐々木は「あえてうろこは外しました。そのほうが美しいです」と。
酢橘の香りと甘鯛の脂分が見事な調和をみせる。

預け鉢では、ひろうすにほうれん草、どんこ椎茸である。
たっぷりだしの味わいを含み、それぞれ異なるうま味を発するのだ。
一つひとつの素材に応じた味を乗せてゆくのが技である。

向付けではカスゴを使う。細切りをたくわんの皮と昆布で味を締めてゆく。
凝縮したカスゴの味に山葵と煎り酒で余韻を加える。
向付けといえども、佐々木はそこに幾重にも仕掛けを講じてゆくのだ。

そして汁。これも小蕪をゆっくり味を含めるように煮こむ。
そこに白味噌仕立てのだしをはり、水溶き辛子でアクセントだ。
白味噌のふくよかな味わいに小蕪の甘味と辛子の辛みで、
また汁がうま味をましてゆく。

仕上げは炊きたての白ご飯。
これを美味しく食べてもらいたいがために、一汁三菜がある。
それも「祇園ささ木」の智恵と技を集結し、白いご飯を主役としてくれたのである。
白いご飯。それは私達日本人にとって主食であるが、かけがえのないご馳走でもある。
その地の米と水だけで炊き上げる。余分なモノを一切加えない。
それだけの一品だが、料理人はピカリと光り輝き、艶があり、
ふんわりとふくれ、自然の甘味を感じさせるために、白いご飯を炊くのだ。

その真髄こそ、締めの「一汁三菜」というわけである。